学生の成長をみれる!これがこの仕事の醍醐味

学生の成長をみれる!これがこの仕事の醍醐味

秋田県の県南部である、湯沢雄勝・横手平鹿エリアで、「ワクワクする地域の“みらい”をつくる!」活動をしている、「特定非営利活動法人みらいの学校」。今回はこちらの団体で、副代表理事を兼任しながらコーディネーターとして活動をしている、崎山健治さんをご紹介いたします。
前職では47都道府県を飛び回る営業マンだった崎山さん。そんな崎山さんが、秋田県へ来るきっかけは何だったのか。活動への想いや学生との関わりで生まれたものについて伺っていきたいと思います。

「おもしろそう」から移住を決意

兵庫県西宮市出身の崎山さん。2016年に秋田県へ来るまでは、関西地域で生活をしていました。食品関係の問屋やメーカーで商品企画や営業を担当し、月の半分は出張で全国をまわっているほど、忙しくも充実した暮らしを送っていました。

「日本全国いろんなところへ行きましたが、自分が地方で暮らすという選択肢はなかったんです。でも、地方に行っていろんな人に触れていくなかで、気さくな人柄と仲良くなると深い付き合いをしてくれる人が多くて。それから地方の暮らしに興味をもつようになって、移住を考えるようになりました」。

そんな時に、秋田県羽後町で地域おこし協力隊の募集を見つけます。産業振興に携わってもらえる方という募集要項をみたとき、「これまで培ってきた経験が活かせるのでは」と感じた崎山さんは悩むことなく、応募しました。

「大阪から秋田へ、地域おこし協力隊がきっかけで移住するのが面白いかなって、ちょっとしたノリもありました。知り合いも全然いないところにまずは飛び込んでみて、合わなかったらまた戻ればいいかなという、ライトな考えも持っていました」。

住んでみて感じたことは、都市部で暮らしていたころよりも複雑な人間関係のしがらみが少なく、楽しく暮らせているということ。今は年齢関係なく、友達といえるような関係性を築けていける人たちが多いところが楽しいと感じているそうです。

羽後町の地域おこし協力隊として採用され、2016年5月に正式に着任。最初に任されたのは、7月末にオープンを予定していた道の駅でのお手伝いでした。
「3カ月くらいほぼ出向状態でしたが、道の駅に勤める方々と一緒に仕事をしたり、産直会員さんや事業者さんなど、色んな人と出会う機会がたくさんありました。人間関係をつくりやすい環境だったので、自然と地域に溶け込んでいけましたね」。

道の駅も無事にオープンし、次に任されたのはインターンシップコーディネーターとしての活動でした。羽後町として地域おこし協力隊に取り組んでもらう活動を計画していたことから、崎山さんへも声が掛かりました。行政と連携し、実践型インターンシップを活用した地域コーディネートを行い、地域おこし協力隊の任期3年を迎えます。

任期終了後の2019年に、現在のみらいの学校の代表理事と当時の地方創生担当の役場職員との3人で、「特定非営利活動法人みらいの学校」を立ち上げます。

掛け合わせた事業から生まれるもの

団体として「学生のキャリア形成支援」「メディアを活用した地域のPR」「企業の事業支援」の3つの分野を重視して活動しています。

特徴としては、1つの分野だけで事業を進めるのではなく、3つの分野を掛け合わせ活動しています。

崎山さんが担当する実践型インターンシップは、企業の事業支援の分野で行われ、課題解決につながる伴走支援を目的としています。

「企業がどういうところで困っているのか?その企業に合わせた伴走支援をしています。企業側は、インターンが自社に何を生み出すのか疑問に思うことが多いため、困っていること、解決したいことを丁寧にヒヤリングします。そこから見えてきた課題に対してどのような打ち手が必要かを考え提案します。状況によっては、インターンシップで学生と協働する内容やスキル人材に副業兼業というカタチで携わってもらう内容なども含めます。提案内容は数パターン準備して、先方が状況に合わせて選んでいただけるようにしています」。

支援する企業とは長く伴走して、一緒にしっかりと取り組みたいと考えている崎山さん。現在は、実践型インターンシップ単体で提案しないようにしているそうです。

みらいの学校としても、企業を取材する、「取材型インターン」を実施し、崎山さんが担当として学生を受入して、企業や地域の情報発信を行っています。

学生に向けては、社会や企業、職業、働くといったキャリア形成支援を目的とし、企業側には学生視点での取材による情報発信というかたちで事業に取り組んでいます。
取材型インターンシップの参加者へは、取材やライティングについての基本をレクチャーしてから実践にうつします。

「取材の様子を見ていると、学生なりの視点があって面白いなと思いますね。実際に取材を受けた企業からも、学生が何を知りたいのか?何に興味を持つのか?という新しい発見につながっているとの声をいただきます。取材後、書き上げた記事は、学生インターンと一緒に立ち上げたWebサイト『あきたみらいのデザイン研究所』へ掲載し、発信をしているんです」。

記事となって掲載されることで、企業の情報発信となり広報活動にも繋がっているそうです。

まさに、「学生のキャリア形成」「企業支援」「地域のPR」の3つの分野を掛け合わせた、活動になります。

どう生きていきたいかは自分次第

みらいの学校は、今期で5期目を迎えます。これまでの活動のなかで、印象に残っている出来事を伺いました。

「首都圏に住んでいて、いずれは東北地方に就職をしたいという学生が、もっと東北地方のことが知りたいと、取材型インターンに参加してくれました。このことがきっかけで、インターンが終わった後も、秋田を訪れたり、取材した法人が主催するイベントにも参加してくれていました。ある日、『秋田県の企業に就職が決まったので、秋田に引っ越します』と突然連絡があり、あの時はビックリしたのと心の底から嬉しかったですね」。

関わった人が地域に興味を持ってくれて、その人の成長に関わることができたのが、崎山さん自身、とても印象に残る出来事だったそうです。

「自分との関係性があるというより、インターン先や取材先の企業とコミュニケーションが繋がっている状態が嬉しいですね。学生にとっても、相談できる大人の一人ができて、企業側もずっと連絡をとっているのが嬉しいですね。インターンが終わっても学生たちのその後の動きが見れたりするのは、この事業ならではだなと思っています」。

インターンに興味をもって参加してくれた学生の人たちへ、崎山さんが伝えていることとはなんでしょう。
「その子によって性格は違いますが、研修などを通して話していることは『就職が人生のゴールではないので、自分にはどんな業界が合っているか、どんな会社で働きたいかということだけで就職先を考えず、社会の一員として自分は何がしたいのか考えられるようになってほしい』と伝えています。どういう生き方をしたいのかを考えてほしいなと思いますね」。

5年後、10年後がどうなるか分からないし、人生をどうしていくかは自分次第だと崎山さんは言います。
この地域で楽しく、自分らしく暮らしている崎山さんだからこそ、自分が選択した生き方を胸をはって伝えられるのだと思います。

狭い枠で考えず、選択肢をたくさんもつことで、自分のなかの知識や経験も増えていきます。崎山さんは、失敗できたことが成功だったと感じることが多いそうです。失敗の積み重ねが、必ず最後には自分自身の成長に繋がっていくのだと思います。

最後に、学生に向けて一言いただきました。

「社会人のときより、学生のときの方が自由度は高いと思います。自分の見聞を広げたり、色んな経験をする時間をたくさんつくったほうがいい。いろんなことを選択できる世代なので、思い切って、未知の世界に飛び込んでみるとか。臆せず、何でも挑戦してほしいなと思います」。