第1弾・新規参画団体さん、いらっしゃい!!ウェルカム座談会

第1弾・新規参画団体さん、いらっしゃい!!ウェルカム座談会

2023年度に3団体が、東北チャレンジコミュニティに新たな仲間として加わりました!

今回は、オンライン上で「ウェルカム座談会」と題して、新たに加わった3団体をゲストにお迎えして、それぞれの活動紹介や質問コーナーなど、ざっくばらんにお話いただきました。

進行役として、NPO法人wizの八田浩希さんと特定非営利活動法人みらいの学校の崎山健治さんも交えての座談会の様子をお送りいたします。

――3団体から、まずは団体について、活動内容の紹介をお願いします。

NPO法人みやっこベース:理事長 早川 輝(あきら)さん

活動地域:岩手県宮古市
2013年2月設立(2015年9月法人化)
理念:宮古で生まれ育つすべての子ども・若者の人生が豊かであること
豊かさをテーマに、「未来のはじまりを、共に創る」をミッションに掲げ、各事業に落とし込んで活動をしている。

――NPO法人みやっこベースはどのような経緯で設立されたのですか?

震災後、宮古市へ来て個人ボランティアとして活動していました。「この町の復興に何が必要なのか」「自分に何が残せるだろうか」と考えるようになり、地元の高校生や子どもたちの「復興の力になりたい」という想いを形にするサポートをするために立ち上げました。活動を続けていくなかで、子どもたち一人一人の幸せを大前提として大切にしていきたいという考えが強くなって、現在の理念に刷新しました。

――事業内容を教えてください。

事業としては主に3つの領域を掲げています。1つは、「地域教育事業」、2つ目は「キャリア支援・企業支援事業」、3つ目は「コミュニティ形成・まちづくり事業」です。小学生から大学生、社会人、経営者のみなさんと一緒に活動しているので、幅広い世代を対象に行うことができていますね。

――具体的にはどのような活動を行っているんですか?

子どもが育つという環境では、居場所作りとして駅前の商店街でフリースペース「みやっこハウス」を運営したり、小学生を対象とした、毎月1回の自然体験活動「みやっこネイチャークラブ」。畑を耕し、親子で農業にふれ、野菜の苗の植え付けから収穫、調理まで行う「みやっこファーム」。1年1回の大きなイベントである、こどものまち「みやっこタウン」は、子どもたちが市民となり、宮古にまつわる職業やまちでの生活を体験しながら、楽しく社会参画意識を育めるような仕組みになっています。

働く領域として、ルーキーズカレッジと題した新社会人の合同研修や、学生が企業に入って行う取材型インターンシップも行っています。1週間取材を行って感じた企業の魅力を記事にして発信しました。他にも実践型インターンシップのコーディネートは2018年から行っています。

――参加するみなさんが、実際に体験して、経験を積める内容ばかりですね!

都会に比べて選択肢が少ない地域で、多様な人や価値観と出会える機会を作りたいと考えています。色んな経験や挑戦をして、自分はできるんだという感覚を身に着けてもらいながら、次への挑戦の連鎖が続いていけばという想いで、事業を行っています。
楽しいから参加する!まちを自分たちの力で変えていくのが楽しい!という子どもたちが増えていったらいいなと思って、私自身も色々と挑戦させてもらっています。

◆一般社団法人tsumugu:代表理事 小寺 将太さん

活動地域:青森県東通村
2018年3月26日設立
ミッション:青森県の若者と地域・企業を紡ぎ挑戦あふれる地域の創出
一番は、住んでいる人たちが、新たな外部人材と出会って、少しでも一緒にやっていけるという、内発性が高められたらという想いで活動をしています。

――一般社団法人tsumuguを設立された経緯を教えてください。

出身は札幌市なのですが、大学進学とともに青森県へ引っ越しました。大学の卒業論文を書くためにヒッチハイクしていて、たまたま流れ着いたのが「東通村」だったんです。そこから弘前大学の職員となって、学生を県内に定着させる事業、COC推進室に配属されました。事業予算がきれるタイミングで、一般社団法人tsumuguを設立しました。

――どのような事業内容で活動していますか?

主な3本柱は、「共育型インターンシップ」と「地域づくりの中間支援」、「地域創生人材育成事業」です。
主軸となるのは、1か月間の「中期型インターンシップ」です。8年行っていますが、むつ下北地域では、今まで約150人のインターンを受け入れてきました。建設業やワインを製造している企業などですね!他にも自治体のなかでも地域おこし協力隊インターンを適応させて、学生を受け入れる仕組みもつくっています。

「地域づくりの中間支援」は、地域に入りこんで草の根運動をしています。地区計画づくりのワークショップの運営や、空き家のリノベーションをして、外からくる人と中にいる人たちの集いの場を形成できればという想いで活動しています。

キャリア支援としては、起業家育成事業を経営者と一緒に行ったり、地域同期など横のつながりをつくる仕組みづくりを地域の民間企業と連携して行っています。

――地域の人たちや企業をうまく巻き込んで活動されている印象です。

そうですね!学生ふくめて若手人材が外にでる機会と、若手人材と出会って地域の人たちが、少しでもやる気や内発性を高めてくれたらいいな、という想いをもって活動をしてます。

◆株式会社なんで・なんで 篠原万里さん 小磯佳奈子さん

活動地域:秋田県秋田市
2016年12月設立(創業2013年10月)11期目
企業理念:境界線のないグラデーションの社会をつくる
色んな対立構造がある社会、白黒をはっきりつけるわけではなく、グレーがあってもいい。
色が交わる、境界線がないグラデーションになっている社会を目指していこう。

――「株式会社なんで・なんで」の社名は最近変更されたそうですね。

小磯さん:はい、9月までは「あきた総研」という社名でしたが、今年の10月で創業10年を迎えるにあたり、変更しました。事業も多岐にわたり、「何をやっている会社なの?」と理解されない部分が出てきて、それが問題意識としてあったんです。社内のなかでは繋がっているけど、他から見たときに一部分しか理解されない、全体的にかみ合わない……。この事業をやっている本質とは何なのかをみんなで考えたところ、代表の須田も日常の中で「なんで?」という問いが多かったこともあり、「制度やルールに疑問をもつ」そこを大切にしよう!という想いから決まりました。

――どのような経緯で設立されたのでしょうか?

篠原さん:代表の須田は、人材業大手のリクルートで働いていたのですが、2010年12月に地元である秋田県で起業をしました。全国と比べてもワースト1位が多い秋田県ですが、特に人口減です。仕事、娯楽、村意識、都会への憧れなど理由はあると思いますが、その中でも生き方・働き方を考えることができたら、他の地域でも横展開できるのではないか?と思い、秋田県の地域課題に立ち向かう起業を決意したそうです。

小磯さん:事業内容としては、個人のキャリア相談から始まりましたが、売上をあげていく上で非常に厳しく、行政から受託した事業を通じて企業の人材確保や定着、コミュニケーションなどのコンサルティングがメインでした。企業との直接の取引は、設備から人材に投資をする価値観の転換を伝え続け、現在の活動に繋がっています。

――みなさん、団体の活動紹介ありがとうございました!!ここからは、もっとここを詳しく聞きたい!という部分を深堀する、質問コーナーです。

――ライター:私の住む地域でも、こどもの選択肢が少ないなと感じているのですが、みやっこベースさんの活動のひとつ、職業体験は、素敵な活動だと思います!参加した親御さんたちからは、どのような感想をいただきますか?

早川さん:みやっこタウンは、子どもしか入れない仕組みにしているんですが、「この地域でやってくれるのがありがたい!」「時間配分やお金の大切さを分かって感じるようになった」「お父さん、お母さんの仕事へ興味を持つようになりました」と嬉しい感想が届きます。身の回りの物事に関して、興味を持つきっかけとなっているのかなと嬉しく思いますね。

――ライター:何人くらいのお子さんが参加されているんですか?

早川さん:今回は150人定員で、新型コロナウイルスの影響によるキャンセルなどもありましたが、136人の参加者でした。学校の職場体験は、基本的に学校が企業を選んで、生徒に行ってもらうという仕組みです。でも、みやっこタウンでは、選択肢がたくさんあるなかで、自分の興味があるものを、自分で選んで、自分で決めていく。その中で自分の主体性も生まれてきます。偶然の出会いから興味が湧くということもあるんですよね。企業のみなさんにたくさん協力をしてもらっていて、いい事業になりつつあるなと感じています。

ライター:親だけだと体験させられないこともあるので、このような活動はずっと続けていってほしいなと思います。

――篠原さん:tsumuguさんの古民家をリノベーションしている事業は、どういった方を巻き込んで行っているんですか?

小寺さん:デザイン案くらいは、長期のインターンをいれて大学生がやっていました。リノベーションとなると、地域の若い人や大工さん、あとは高校生など学生の人たちと一緒に監修しながら、やっていくような形です。あとは、県が管轄する技術専門学校を活用すると、通っている生徒たちの活躍の場としても提供できるんですよ。

――八田さん:1棟あたり、関わった人の人数はどのくらいなんですか?

小寺さん:30~40人くらいになると思います。

――篠原さん:地域の若い人たちに声がけをするとき、日頃から地域の人たちとのコネクション作りで工夫していることはありますか?

小寺さん:商工会に入って、青年部の方々や村長の考えが、「イベントも行政主体をやめよう。地域に住む若者に全て、地域のイベントはやらせよう」という方向になっているんです。行政も民間も隔てない若手が集まっている実行委員会があるんですが、そういう人たちを含めて一緒にやっています。

――八田さん:今の状態がつくれるまでのスピード感は早かったのでは?

小寺さん:紆余曲折はありましたが、地域にいて8年目なので、繋がりはできているかなと思います。

――八田さん:早川さんが立ち上げに携わったゲストハウスも一部、リノベーションでしたよね?その時は、仲間集めはどのようにしていましたか?

早川さん:みやっこベースで当時高校生だった20代の若者たちが、「楽しそう」と関わってくれていました。あとは当時、中心となっていたスタッフが、色んなところで飲み歩いて、仲間を見つけてきていましたね(笑)

八田さん:おもしろいですね!!このサイトの記事を読む人って、若者や大学生、行政、民間事業者の方もいます。僕らの感覚では、当たり前にやっている人を巻き込んでいく部分が、経済的合理性という観点でとらえると、そこに対する対価は……となるんですよね。でも、そういう話ではなくて、ビジョンや存在意義に共感して、仲間が集まってくるみたいなところは、このチャレンジコミュニティに入っているみなさんの特徴なのかなと、日々思っています。

小磯さん:なんで・なんでのスタンスとして、この地域から出ていくこと自体が、悪ではない。意識をもって残ろうねと伝えていきたいですね。

八田さん:とどまってほしいという方針より、ポジティブに残るか。一旦出て、また戻ってくるかの選択肢をもたせておきたい。という声が最近多いですよね。

小寺さん:私もCOCにいたので、県内定着をひたすらやらなきゃいけない。という部署の限界を感じていました。民間でtsumuguを作ったのもそうです。残れ残れというよりは、選択肢の一つに増えればいいなという形で取り組んでいるんです。

崎山さん:秋田県は、ふるさと教育をずっとやってきて、そことキャリア教育をかけて行っています。足元にどんな企業があるのか知り、文化など学校教育にもちこんで、小中学校でやったりしています。地元企業の魅力が知れる、選択肢が増える取り組みがされているのではと思います。

八田さん:そういう想いをもって活動している人たちがいる地域が、そういう色になっていくし、関わっている事業者に人が集まってくるのだろう。と思いますね!
今日は、きっかけの場となりました。ぜひ、これからも東北チャレンジコミュニティの場で意見交換やご縁が繋がればなと思っています。

――最後に、みなさんから一言ずつ感想をお願いします。

篠原さん:みなさんのお話を聞いていても、考え方や視点をちょっと変えるだけで
ピンチはチャンスになるなという感覚が、自分のなかで芽生えてきました。「なんもねぇな~」と秋田の人は言いがちですが。それを好転できるような、視点の変化を自分や周りもできるように、自分からポジティブを連鎖させていけたらいいなと思います。これからもよろしくお願いします。

小磯さん:みなさんが学生や地域の人たちを巻きこむ力がすごいなと感じました。組織としては、まだまだだなと感じているので、巻き込み方や関わり方の部分を、これからたくさんお話を聞いたりしながら、勉強していきたいなと思います。またお話する機会がありましたら、嬉しいです!よろしくお願いします。

小寺さん:東北チャレコミに入って、東北にいるコーディネーターの中のみなさんでも専門性という部分でいくと、各々武器をもっているなと思っています。それを1つの地域でも、違うコーディネーターと連携しながらやっていくことは、地域にとってもいいことだと思うんです。それが連携できるようになればと思って、東北チャレコミに入ったので、これからみなさんともたくさんコミュニケーションをとって、頑張っていこうと思いました。

早川さん:それぞれ地域ごと、組織ごとに色んな文脈があったり、共通している事業や思いがあって、そういった意味でも刺激を受けました。頑張っていこうと思うようになりました。コーディネーターだけじゃなくて、地域で働いている若者同士、東北圏域内で交流できるような機会があれば、楽しい時間がもてるのかなとも思いましたので、そういう場や関係性を作っていけたらなと思います。

崎山さん:もうちょっと話したいですね!第2弾の機会をつくって、深堀った話しができたらいいなと思いました。みなさん、それぞれカラーが違うので、深掘ると何か化学反応起きそうな予感がしましたね!またいろんな機会でお話できたらと思います。

八田さん:僕自身が勉強になりましたし、刺激も受けました!!もっと話したい気持ちですが、今日はここでお開きにしたいと思います。ありがとうございました。

最後までご覧いただきありがとうございました。東北チャレンジコミュニティは新たな仲間を随時募集しています。
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